もともと、中央大学は東京・お茶の水に拠点を置いており、お茶の水は東京の中央、だから「中央大学」という名になった、というウワサも耳にする。しかし現在、理系以外の全学科は八王子市の多摩キャンパスにあり、かなり都心部からは離れた立地だ。

ちなみに、このへん。

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中大の“中央”が知りたくなってきた

中大生の中にはその立地を皮肉って、「中央大学なのに、全然中央じゃない」と言う人も多い。地方出身の筆者も、東京の土地勘がなかったので、こんなに田舎だというのは入学してから初めて気づいた。

しかしながら、一度「中央大学」と名付けてしまった以上、もはや名前を変えるわけにもいかないだろう。こんなことを考えていたら、ふと思った。

「中央大学多摩キャンパスの“中央”って、どこなんだろう?」

多摩キャンパスはディズニーランド以上の広さとも言われており、自然豊かでのびのびした環境に定評がある。だからこそ、知りたい。中央大学の中央が。もしかしたら、森の中かもしれないし(キャンパス内には森がある)、池の中かもしれない(キャンパス内には池もある)。

中央大学に通う学生として、中央大学の中央を知っておくべきなのではないか!?

しかし、どうやって見つければいいのだろう。検討もつかない……。
そこで、ひとつの仮説を立ててみることにした。

“中央”には、中央っぽいものがあるんじゃないか説

たとえば、ヨーロッパの街は広場を中心につくられている。そして広場には、噴水とか銅像とかが立っていたりする。中大の中央にも、そんな目印があるんじゃないか。さっそく探してみることにした。

キャンパス内で目印っぽいものを考えてみると、いくつか思い当たるものがあった。まず浮かんだのが、謎の子どもの銅像だ。

キャンパス内でも、最寄り駅(多摩モノレール「中央大学・明星大学」駅)から比較的近いところに「Cスクエア」という建物がある。サークルがミーティングなどで使用する会議室や講演会が行われる部屋、さらには専用のカフェテリアなどが入った非常に充実した施設で、中大生の多くが利用している。

子どもの銅像は、ちょうどそのCスクエアの入り口のそばにある。キャンパス内にはいくつか銅像が存在しているが、他の銅像は日の光がさんさんと降り注ぐ場所にあるのに対して、この銅像だけは、なぜかCスクエア脇にひっそりとたたずんでいるのだ。

「あ・や・し・い……」

筆者は1年のときからひそかに、これは何かのメッセージではないかと考えていた。しかし、地図上で場所を確認してみると、明らかに中央ではない気がする。まあいい、候補1だ。

もうひとつ思い浮かんだのが、キャンパス内で一番紅葉がきれいだと言われている木だ(野鳥研究会および登山部の友人談)。前述のとおり、キャンパス内には森が存在し、多くの木が生い茂っている。

みな「あれが一番」と口を揃えて言うだけあって、たしかにきれいである。すでに他の木は枯れているにもかかわらず、この木だけ彩りよく葉をつけて堂々と立っている。何かの目印に違いない。

地図を見ると、若干真ん中ではない気もするが、とりあえず候補2としよう。

“中央”なんだから人が多く集まるんじゃないか説

次は、少し違う視点で“中央”を探してみたいと思う。中央というくらいなのだから、やはり人が多くいてしかるべきだろう。しかし、多摩キャンパスには、学部棟のほかにもたくさんの棟があり、人口密度は比較的分散しているような気がする。

人が多く集まる場所、人が多く……8号館か(中大8号館については、こちらを参照 >> 「中大の迷路!? 魔の8号館完全攻略マニュアル」)。ご存じない方のために軽く説明すると、8号館とは、学部関係なく、朝から晩まで多くの学生が出入りする大教室棟である。

地図を見ても、建物の風格からしても、なんとも真ん中っぽさを醸し出している。まさか、中大の中央は8号館なのか!? だいぶ近づいている気はするが、まだまだ続けよう。

「人が多く集まる」という意味において、もうひとつの候補は、学園祭のときにステージが設置される階段のあたりだ。学園祭は、東京の中では田舎に位置する我らが中大に、関係者以外にもたくさんの人が訪れる一大イベントである。

そのとき、この階段の下にはステージが設置され、多くの人がそこに腰をかける。学園祭期間中、おそらくもっとも人の集まる場所だ。人が集まるのだから、きっと中央に違いない。地図上でも大きくずれている気はしない。候補4だ。

しかし、ここまできて、ある重大なことに気づいた。

これって全部オレの感覚じゃないか。

地図上で確認こそしているものの、適当感は否めない。感覚ではなく、きちんとした理論に基づいた“中央”を探さないと、みんなが納得してくれるはずはない……。

というわけで路線変更。ここまでの4つの候補は、潔くすべてボツにすることにした。

きちんとした「理論」に基づいた“中央”とは?

ん〜 ちょっと違う?

「理論に基づいた中央の探し方」をいろいろ検討した結果、まず浮上したのが【キャンパスを長方形の中にはめて、その対角線を結ぶ】というやり方だ。

1、キャンパスのマップを長方形で囲む。
2、長方形に対角線を引く。
3、対角線が交わった点が中央!

たしかに、中央っぽい点は出すことができた。が、キャンパスの形がキレイな長方形ならともかく、実際はいびつなため、なんか納得がいかない。ここで、たまたま横を通りかかった、学生図鑑の編集担当者に相談してみた。

モリ「中央大学の“中央”って、どうやって出したらいいと思います?」
編集「あ、ブラタモリの、なんかの真ん中を探す企画でやってたんだけど、【重心をとる】ってのはどう?」

おお! 「重心」を辞書で引いてみると、「物事の中心となる点。均衡を保つ働きをする」とか「その点を支えると、全体を支えることができる点」とある。

つまり、そこを持てば中大を支えられる点だ。これを“中央”と言わずして、何を“中央”と言えるだろうか。理論的に見ても、これまでの候補の中で一番しっくりくる。ということで、さっそくやってみることにした。

1、マップの中央っぽい地点に穴を空け、棒を刺す。

2、重心がとれる(まっすぐになる)まで、ひたすら刺す。

なかなか重心がとれず、傾いてしまう。

ついに、まっすぐに。中大が立った!

空けた穴の数、なんと28。試行錯誤の末、ついに傾かない真の“中央”を発見した。水平とは、こんなに美しかったのか……。重心のとれたこの地点を、晴れて「中央大学の中央」に認定することにしたい!

中央大学の“中央”で、何と叫ぶ?

調べただけでも十分満足だったのだが、せっかくなので、その場所に行ってみた。実際に立ってみると、「え? ここが中央なの?」といった感じである。目印もなければ、人通りもほとんどない。このあたりに来たことある学生は少ないのではないだろうか。

ちなみに、中央はここ。

しかし、ここが中大の中央であることは間違いない。そう思うと、景色もより素晴らしく見えてくるから不思議だ。きっと僕は、歴史上初めて、中大の中央を意識して、ここに立った学生だろう。

記念に、大きく叫んでみた。

ちなみに「行動する知性。」は、中央大学のユニバーシティメッセージ。

最後に。この企画自体、かなり「行動する知性」だと思うんですが、大学関係者のみなさん、どうでしょうか。意味をはき違えてますか?