いざ開幕! エントリーした10部活はコレ

全国クラスの強豪・ラグビー部や箱根駅伝の常連・陸上部など、われらがダイトーは部活動が盛ん。まずは、学生が編集する新聞「スポーツ大東」の部員が撮影した写真の中から、緑色のバリエーションがつくように、10点のユニフォームを選んでみた(ちなみに僕も「スポーツ大東」の編集部員)。エントリーは以下の通り。

■ アメリカンフットボール部
昨季3部Aブロック1位のアメフト部は、今季「21世紀タイプのユニフォーム」に一新。ホームは黒、ビジターは白のラインが入る。

■ ラグビー部
関東大学ラグビーリーグ戦1部に所属。カラーは言わずと知れたモスグリーン。左胸にラグビー部のエンブレムが入っている。

■ ハンドボール部
入れ替え戦に敗れ3部リーグに降格、チームの立て直しが求められる。緑色の地に、ビビッドな黄色のラインと背番号が映える。

■ 女子バレーボール部
落ち着いた緑色をベースに、肩にはオレンジのライン、胸には同色で大学のロゴマークが。関東大学バレーボール連盟2部所属。

■ 女子サッカー部
創部以来初の2年連続1部。進化し続ける楓昴(ふうすばる)ユニフォームはピッチと同じ緑。胸元にチームマークがワンポイントで。

■ 男子ラクロス部
関東学生ラクロスリーグ戦2部所属。深緑を基調に、白とオレンジのラインがあしらわれる。ヘルメットも同色。

■ 女子ラクロス部
今季は2部で5位、1部昇格を目指し奮闘している女子ラクロス部。深緑を基調に、サイドに入った鮮やかなオレンジが目立つ。

■ ボクシング部
少し濃いめのエメラルドグリーン。腰まわりのオレンジ色に大東の刺繍がアクセント。残念ながら昨年2部リーグから3部へ降格。

■ スケート部
女子団体が、学生選手権のパシュート競技で3位入賞。黒を基調に、肩と胸が深緑、腕と足のサイドにはライトグリーンのライン。

■ 陸上競技部
3年ぶりに出場した箱根駅伝で12位と復活の兆し。ライトグリーンとオレンジが鮮やかなユニフォームの胸には「D」のマークが輝く。

こうして並べてみると、ひと口に緑色といっても本当にさまざま。さて、どの緑がもっとも目にやさしいのかを決めなくては。でも、どんな方法で?

【方法 その1】他大の学生にアンケートをとってみる。

最初に思いついたのは、とりあえず人に聞いてみること。ふだん、スポーツ新聞部の取材で見慣れている僕らよりは、客観的に判断してくれるだろう。ということで、トーキョー学生図鑑の学生サポーター20大学数十名に、どのユニフォームが目にやさしいと思うか選んでもらった。その結果は……

1位 ラグビー部

「目にやさしいとは、つまり刺激が少なく見やすいということだと思います。ということは、ふだん見慣れている、身近な自然にある緑色のほうが目の負担になりません。ラグビー部の緑色は自然界の色に近いので、刺激が少ないかなと思って」小暮さん(武蔵野美術大学)

2位 女子バレー部

「JTの女子バレーチームのユニフォームと似ている(ような気がする)ので、なんか安心します。多分“見慣れてる感”だとは思いますが……」横田さん(大妻女子大学)
「濃すぎず淡すぎず、ちょうどいい色だと思うから」豊田さん(明治学院大学)

2位 女子ラクロス部

「色が濃く、うるさくない感じがするので」本間くん(法政大学)
「主張がなく、暗めの緑色のように見えるハンドボール部と女子ラクロス部のうち、光沢がないほうを選びました」佐藤くん(多摩大学)

アンケートでは断トツでラグビー部が1位! もっとも目にやさしいという結果になった。ちなみに、同じ得票数を集めた女子バレー部と女子ラクロス部が同率2位。傾向としては、モスグリーン調で光沢がない緑色が目にやさしいということなのだろうか。でも、これだけでは、まだ説得力に欠ける気がする……。

【方法 その2】芝生の色とデータを比較してみる。

アンケート結果で僕が注目したのは、「身近な自然色は目に負担がかからない」という美大生の意見だ。大東文化大学で人気の癒しスポットといえば、東松山キャンパスにある「調整池」。そのまわりにある芝生の色と比べれば、どれが目にやさしい緑なのかわかるのでは?(という適当な仮説)。

東松山キャンパスにある調整池(通称「池」)。周囲は階段状に芝生が敷かれていて、ここでランチを食べる学生も多い。池には鯉がすんでいる。水質はそこそこきれい。

さっそく、芝生と各ユニフォームから緑色を抽出して、RGBの値を比較してみた。ちなみにRGBとはいわゆる「光の三原色」で、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue) 、3つの数値の組み合わせで色を表すことができる。

今回は、芝生のRGB値と重なる面積が大きいもの、ザックリ言うと「芝生とグラフの形が近いもの=目にやさしい緑」とする。

ユニフォームの適当な位置からそれぞれの緑色を抽出。使ったソフトはPhotoshop。

基準となる芝生のRGB値は「R:175/G:188/B:64」。これと形が似てるのは?

ということで、芝生と10部活、すべてのデータを比べた結果は……

1位 陸上競技部

アンケートでは4位と振るわなかった陸上部が面目躍如(?)。Rの値こそ異なるものの、GとBの値はかなり近く、データ的にはもっとも芝生と近い色ということが判明。

2位 ラグビー部

アンケートに続き、上位にランクイン。とはいえ、芝生の色とはRの値もGの値もかけ離れている。2位なのに、このありさま。すでに不安がよぎる展開。

3位 女子ラクロス部

僅差の3位。グラフの値から、女子ラクロス部とラグビー部のユニフォームの色は近いという、わりとどうでもいいことがわかった。パッと見けっこう違うのに……。

厳正な(?)データ分析の結果、陸上部のライトグリーンがもっとも目にやさしいとわかった(というか、陸上部以外、どれも芝生の色とは似ていないということがわかった)。そもそも、芝生もユニフォームも、それぞれ適当な位置から緑を抽出している段階で信ぴょう性にも疑問あり。写真によって、光の当たり方だって違うし……。

【方法 その3】やっぱり専門家に聞いてみる。

ここまで頑張って分析してきたものの、どちらも決定打に欠ける。だったら専門家に話を聞いてこよう、ということで、“目の癒しのスペシャリスト”吉祥寺森岡眼科の院長・森岡清史先生に取材をさせてもらうことにした。

――そもそも、緑色が目にやさしいってホントなんですか?

もう一般常識みたいになってますよね。色の効果を研究するのは、基本的には眼科というよりも心理学の領域なんです。でも、私は眼精疲労が専門ですから、“癒し”というのは個人的にとても興味がある分野。今回、10冊以上の文献をあたってみると、こんなことが書いてありました。
インテリアにスプレー・グリーンを使用するとリラックスできるので、最適である。リード・グリーンも安らぐ色。同じ緑でも、麻雀卓や撞球台のビリヤード・グリーンは心をかき乱す。

『色の秘密 最新色彩学入門』(野村順一/文藝春秋)より

スプレー・グリーン

リード・グリーン

ビリヤード・グリーン

同じ本には、緑色の光を使って、胃潰瘍や子どものやけどを治したなんて記述もあって、ええっ! と思って。われわれ眼科医も、もっと色を治療に取り入れるべきなのかもしれませんね。

――アンケート結果については、どうでしょうか?

上位には、ちょっと暗めの緑が選ばれていますね。さっき出てきたスプレー・グリーンやリード・グリーンのように、私ももう少し明るい緑のほうが、目にはいいのかなという印象です。そうすると、ここに登場するユニフォームには、(目にやさしい緑が)ないなあと思って(笑)。

――そ、そこをなんとか! 強いてあげるとしたら?

……一番すっきりしている、ボクシング部ですかね。ラグビー部やラクロス部だと重たすぎるし、スピードスケート部や陸上部だと原色に近くて鮮やかすぎる。スポーツウェアとしてはいいかもしれないけれど、目にやさしい、癒されるかいうと、ちょっと違うかなと。

――ちなみに、大学内にある芝生の緑とも比べてみたんですが……。

芝生の色は、リード・グリーンに近いですね! スプレー・グリーンは緑というより青ですが、青には血圧を下げる効果や鎮静作用もあるそうです。びっくりしたのは、目隠しをした人を赤い部屋と青い部屋に座らせると、皮膚の温度が変わるという実験(同『色の秘密 最新色彩学入門』より)。つまり、人間は肌でも色を感じるというわけです。芝生で横になれば、全身で緑という色を感じられますから、おそらく体にも目にもいいでしょうね。

――森岡先生、ありがとうございました!

取材協力:吉祥寺森岡眼科

眼精疲労のエキスパートである森岡清史先生の指導で、眼科的治療はもちろん、マッサージ、サプリメント、バイオラバー素材のアイマスク、漢方薬などさまざまな治療を提供している。JR吉祥寺駅 徒歩1分。
http://www.morioka-gannka.net/

“目にやさしい緑”ユニフォームが、いよいよ決定!

さて、これまでの結果を振り返ってみると、

1. アンケート ラグビー部
2. 芝生と比較 陸上競技部
3. 専門家   ボクシング部(あと、芝生も目にやさしい!)

見事にバラバラ。気を取り直して、以上を総合的に判断して決めた、もっとも目にやさしい大東文化大学のユニフォームは……

陸上競技部!

【方法 その2】の「芝生と比較」での1位を評価、また森岡先生の「芝生は目にやさしい」という言葉を根拠に、最終的には僕の独断と偏見で決めてみた。

ひと口に「緑色」といっても、それぞれ大きな違いがあるんだなと考えさせられた今回の分析。最近スマホの見すぎで疲れ目になっているから、この冬は箱根駅伝に陸上競技部の応援に行こうと思う(芝生はないけど……)。

このコラムを読んでくれたみなさんも、ぜひ大東文化大学の運動部の応援に来てください。きっと目の疲れも忘れて、試合に熱中することでしょう。