本日、先輩がおじゃましたのは、恵泉女学園大学の「生活園芸 I」という授業。キャンパスに隣接する教育農場で季節ごとの野菜を育て、食の安全や環境、命の豊かさを学ぶというもので、学部学科を問わず、1年生の必修になっているそうです。

この日は、待ちに待った今年初めての収穫日。しか〜し! 梅雨まっさかりで、天気は残念ながら土砂降り(*メイン写真は別の日に撮影したものです)。

本当なら畑に出てさっそく作業! といきたいところですが、まずは教室で、本日の注意点について講義を受けるところから始まりました。

「今日は、きゅうりの収穫をします。収穫したら、必ずどのくらいの数量がとれたかノートに記録してください。雨の日は、湿気が高いので植物が病気になりやすいですから、傷つけないように。それから、虫がついていないか、まわりに広がったりしていないか、必ず観察すること。観察はすごく大事で、収穫にも結びつきます。いいですね〜?」

そのほか、きゅうりは単性花で、雌花は受粉しなくても実をつける(!)……などなど。説明が終わると、軍手を着け麦わら帽子をかぶって、みんなで畑へと向かいます。

いざ畑へGO! きゅうりの収穫開始〜っ

さてさて、ようやく本日のメインイベント、きゅうりの収穫です。

ちなみに、この畑は長年の有機農法が評価され、教育機関としては初となるJASマークの認定を受けているそう。化学肥料はもちろんまったく使わないし(肥料には、牛糞や鶏糞を使用!)、きゅうりのつるを結んでいるのも麻紐、雑草などを防ぐために地面に張るマルチも、ビニールではなく枝葉の切りくずを使っています。

ワイワイと作業を開始するみんなに、先輩が直撃インタビューをしてみました。

みんな

あ、先輩。おはようございます!

トキヲ先輩

おう、おはよう。で、キミら何年?

みんな

1年です!

トキヲ先輩

園芸の授業、楽しい?

みんな

楽しいです!

みんな

ヤバイです! こんなにいっぱいとれました。

トキヲ先輩

ほんと?? みんな最初はイヤがるって聞いたぞ?

みんな

イヤだったけど、やってみたら意外と楽しかった!

トキヲ先輩

ふ〜ん。何がイヤだったの?

みんな

虫……。

トキヲ先輩

収穫が楽しみな野菜ってある?

みんな

さつまいも!

みんな

じゃがいも!

収穫したら、観察&計測も忘れずに!

大きく実をつけたきゅうりの収穫を終えたあとは、つるが上に伸びていくように麻紐で誘引したり、まわりに生えてきた雑草を抜いたり。

また、このあと収穫をすることになる、じゃがいも畑の様子も観察。そして最後に、きゅうりの重さを計測して、この日の授業は終了となりました。

ひと通りの作業を終え、先輩の表情にも心なしか疲れが……と思ったら、一番最後まで熱心に観察していた、カワイイ女子2人をつかまえた模様。

トキヲ先輩

お〜、初めてのわりにけっこう採れてるな。

塩谷さん

ハイ。数日ちょっと見てないだけで、すごく大きくなっちゃうんです。

白石さん

育つものもあれば、なかなか育たないのもあって、毎日変化があるのがいいよね。

トキヲ先輩

へ〜。で、キミら何年?(*先輩の口ぐせ)

2人

1年です!

トキヲ先輩

園芸の授業、どう?

塩谷さん

楽しい! でも、月曜に早く来ないといけないのが……。

白石さん

肥料が臭いのはイヤですけど……。でも、友だちとペアになって一緒にやれるのがいいよね。

トキヲ先輩

このきゅうり、何で食べる?

塩谷さん

洗ってマヨネーズつけて、そのまま!

白石さん

漬け物にします!

トキヲ先輩

じゃあ、来年も園芸の授業も取っちゃう?

2人

取ります! ……1限じゃなければ(笑)。

生徒のみんなには先輩が十分話を聞いてくれたので、最後に編集部が、担当の澤田先生とスタッフのみなさんからお話をうかがいました。

ーー 園芸は初めてという子が多いみたいですが?

左から二番目が澤田先生

クワを持つのはもちろん、土をさわるのも初めての子が多いですね。最初は「ヤダ!」「無理!」「ありえない!」なんて文句ばかり。でも、やっていくうちに「きゅうりの花、カワイイ」とか言うようになって、最後はみんな口をそろえて「楽しかった!」ってなるんですよ。

ーー たしかに、今日もみんなそう言ってました。

最初は本当に虫が苦手で、しゃがむことすらしなかった子が、秋になると土をさわるようになって、最後には「家でも野菜を育ててみることにしました」なんて感想を書いてくれたこともありました。やっぱり、やってみないと楽しさはわからないんです。

ーー 園芸の「楽しさ」のポイントって何なんでしょう?

大きいのは、収穫の喜びですね。お母さんが楽しみにしているとか、おばあちゃんちに持っていったとか。園芸は、働けば必ず見返りがありますから。

もうひとつは、友だちと協力して、自然や四季を感じながら汗を流して働く喜び。それがわかると、スーパーでも無農薬の野菜を探すようになったとか、農家の人って大変なんだとか、食の安全について考え直したとか、意識も変わっていく。これからの人生にとっても、絶対プラスになると思います。

ーー 季節ごとのイベントもあるんですよね?

畑で、じゃがいもをゆでて食べたり、秋には焼き芋大会、冬はみそ汁大会をしたり。今週は学校に泊まり込みで田植えの合宿をするし、みんなで一緒に食事をする「お弁当の日」もあります。クリスマスには、育てた花をドライフラワーにしてリースをつくるんですが、女の子にとっては、そういうのもうれしいみたいですね。

ーー 若い女子が、集団で農作業をしている光景にビックリしました。

学生には「日本中探しても、月曜朝9時にジャージを着て畑にいる女子大生なんていないんだから、誇りを持ちなさい」って言ってます。なんてステキなんでしょうって(笑)。

ちなみに、2年次には選択の「生活園芸Ⅱ」という授業もあって、こちらは毎年抽選になるほど人気なんだとか。

第1回目にして、自慢の学ランはグチャグチャ、顔は泥まみれのハードな取材となったトキヲ先輩。次は、どんな授業やイベントにチャレンジするのでしょう。

編集部的には、先輩が雨男でないことを祈るばかりです。

先輩の“上から目線”コメント
「家に帰るまでが遠足」ならぬ「とって食べるまでが授業」というのがスバラシイ。あとはみんなの、ジャージと普段着のギャップがカワイかったぜ!でも、さすが月曜の1限からこれは……正直しんどいかも。。

■ 授業紹介
恵泉女学園大学 生活園芸I(必修)

キャンパスに隣接する広大な教育農場で、農薬などを使用しない有機園芸を体験。きゅうり、じゃがいも、さつまいも、大根、麦わら菊など、自分の手で育てた野菜や花を収穫することで自然の力を実感し、「いのち」を育む楽しさと難しさ、収穫の喜びを体感する。その感動を分かち合い、地域社会のコミュニケーションへ発展させていくことがテーマ。