
まずは、腹ごしらえ♥
梅澤
学食って、広くて安くていいよね〜!! ちなみに北川さんって、学生のときどんな感じだった?
北川
英米語学科に入ったんだけど写真にハマって、勉強しないで、ずっと暗室にこもってたな〜。レポートも、家族に手助けしてもらったり(笑)。
梅澤
昔はレポートも手書きだったから大変だったよね〜。私なんて先生から、「内容以前に字が殴り書き!」って怒られたことあって、いまだにトラウマ……。
ワタシたちが学生の頃はもっと小汚い服装をしていたと思うんですが、女子大は、ほんとにオシャレなコが多い! ドラマのロケによく使われるという校舎もステキ。
北川
でさぁ、今日のゼミって、どんなことやるの?
梅澤
えーと、西洋美術史。……って、なにかしら??
「西洋美術史」って、どんな学問? 教えて先生!
梅澤
先生の西洋美術史ゼミでは、どんなことを勉強しているんでしょうか?
伊藤先生
美術史の“史”は語源を辿ると、“history”なんですね。美術作品の生まれた背景を見ながら物語をつなぎ、歴史を理解していくのが、美術史という学問です。
北川
単に絵画や彫刻なんかを見るだけじゃないんですね。
梅澤
あ、あの〜、今日、私たちも学生と一緒に、ゼミに参加させてもらいたいなと思ってまして……。
伊藤先生
どうぞ、どうぞ! 授業中に、あてちゃうかもしれませんけど(笑)。ちなみに、うちのゼミでは、美術に限らず、都市やファッションなど、視覚的なモノから、背景を探っていく研究をしているんです。
梅澤
というと、具体的にはどんなことを?
伊藤先生
3年生の前期は画家や美術作品について調べ、発表を行いました。後期は、前期の発表から興味が広がったことをテーマに、レポートを提出します。今日は、後期のレポート提出直前なので、完成前のレポートを読んで、修正が必要な点をみんなでアドバイスしあってもらいます。
北川
ちなみに、ゼミはどんな雰囲気なんですか?
伊藤先生
きっと、僕の指導が厳しいと思われてるんじゃないかなぁ(苦笑)。
アラサー女子の潜入開始! そして、いきなりのピンチ!?
伊藤先生
みなさん、レポートは持ってきましたか?
みんな
は〜い。
伊藤先生
ほんとに?
みんな
ええと……(汗)。
伊藤先生
まずは、グループに分かれて、レポートを回し読みしましょう。読んだら、「コメントシート」を記入してください。レポートというのは感想文ではなく、アカデミック・ライティングです。研究の成果としてふさわしいものになっているか、「チェックリスト」も使って、評価してくださいね〜。
「コメントシート」(右)には、感想や改善のためのアドバイスを記入。「チェックリスト」(中央)には、「自分の考えは論理的な考察・分析に基づいたものか?」「論拠のない感想を書いていないか?」など、アカデミック・ライティングに必要な30以上もの項目が! また、伊藤先生特製「レポートの書き方指導書」(左)も。レポートに苦手意識のあるワタシたちも、これさえあれば卒論だってイケちゃう?
伊藤先生
レポートを読み終わったら、意見を言いあっていきましょう。ではさっそく、北川さん(不敵笑)。橋本さんのレポート「時代ごとのサロメとその変遷」は、どんな内容でしたか?
北川
はっ、はい!!! テ、テーマは……せ、聖書の登場人物であるサロメが……(中略)……ファ、ファム・ファタルとして描かれるようになったのかを……モゴモゴモゴ……していました。
(心の声:あってる? あってるよね?)
伊藤先生
梅澤さん、レポートはわかりやすかったですか?
梅澤
あ、あのぉ〜……。聞きづらいんですが、そもそも「ファム・ファタル」って、なんでしょうか?
(心の声:もしかして常識!? 半泣)
橋本さん
ファム・ファタルは、近代のフランスで流行した女性像で、男を破滅させるような魅力をもった女性のことですよ。


美術史のゼミらしく、どのレポートも図版がキレイにレイアウトされてました。社会人になってからPC操作を覚えた30代は、そんな当たり前のことにも関心しちゃう。
伊藤先生
秋山さん、橋本さんのレポートで、よかったところ・悪かったところは?
秋山さん
ファム・ファタルとしてのサロメの登場を、産業革命以降の女性の役割に結びつけて考えているところが面白いと思いました。
レポートのテーマはほかに、「18世紀の女性服に見られる、社会的価値観の変化」「“永遠の都”と呼ばれる古代ローマは、いつから変わらないのか?」などなど、多岐に渡るもの。目のつけどころがさすがです。
美術史を通して、考え方を広げていくことが大切

伊藤ゼミで印象深かったのは、お互いのレポートに対して、「問題提起と結論が合っていない」「検証の結果だけになっていて、自分の意見が書かれていない」など、厳しい視点で切り込んでいた点。
「おもしろ〜い♪」などと、ま〜ったく脳みそを使わずに読んでいた自分が恥ずかしい……。しかも普段は、先生からのツッコミも、もっとたくさん入るんだとか。
伊藤先生
今日はたまたま僕が司会進行をしましたが、いつもは学生がやって、僕は文句をつける係(笑)。ゼミは、学生が自主的に運営していくものだと思っているので。
梅澤
ほかに、ゼミで身につけてほしいことってありますか?
伊藤先生
そうですね。言語がわからないと、英文学やフランス文学を学ぶのは難しい。でも、美術は見る者すべてに開かれています。作品を通して、多様な文化に触れられるのが魅力なんです。
北川
なるほど。ワタシも写真が本業なので、それはすごく納得です。
伊藤先生
美術を時間軸とともに学ぶことで、自分のものの見方や世界をさらに広げていく。学生には、そんな力をつけてもらいたいですね。

と、厳しくも温かい伊藤先生(しかも、さりげなくオシャレで紳士的!)。
先生の話だけではなく、実際に受けている側の意見も聞いてみたい! ということで、授業終了後、学生のみんなに先生&ゼミのいいところを話してもらいました。
北川
ひさしぶりに、学生時代を思い出しちゃった〜。ゼミって、いつもこんな感じなの〜?(精一杯の学生口調で)
みんな
先生、今日はちょっと緊張してたかも。「先生のことは、あんまり話さなくていい」って言ってたし(笑)。
みんな
伊藤先生はレポートの形式も内容も、厳しく突っ込んでくれるので……。力はつくよね。
みんな
おかげで、メンタルも強くなったと思います(笑)。あと、ゼミの結束力も。
30代女子を温かく迎えてくれた伊藤ゼミのみなさん、今日は本当にありがとうございました。今後も美術史を通して、どんどん自分の世界を広げちゃってください!
・レポートのスキルが鍛えられる!
・美術史を通して、自分の世界が広がる!
・メンタルが強くなる!(突然あてられた私たちも強くなりました)
■ ゼミ紹介
恵泉女学園大学
人文学部 歴史文化学科 伊藤ゼミ
メインで扱うのは、ヨーロッパやアメリカにおける美術の歴史。パワーポイントを使って美術作品の写真を見ながら行う授業のほか、展覧会を見学したり、古い技法を用いて実際に絵を描いてみたり、さまざまな形で学びを深めていく。
【おまけ】
梅澤
みんな、真剣だったよね〜。ワタシが大学生の頃なんて、遊んでばっかりだったかも。
北川
たしかに。でも、意外と年齢差は感じなかったな〜。写真は、フォトグラファーの権限で、ワタシたちの顔のとこだけ修正しちゃえばいいし!
梅澤
さすが、年を重ねると(ズル)賢くなるよね〜。ねぇねぇ、それより伊藤先生って独身かしら?
北川
…………。