今回お邪魔したのは、恵泉女学園大学人文学部英語コミュニケーション学科2年生のゼミ。これまで英会話から逃げ続けてきた私(英検4級)が、まさかこの年になって、英語オンリー(しかも女子大!)のゼミに潜入することになるとは……。

取材前、事前情報として知らされていたのは下記2点のみ。

・先生がネイティブスピーカー(セオドア・クオック先生)
・ゼミのテーマは「ユーモア」

この2つの情報から、学生図鑑の敏腕編集チームが用意してくれたのはコレ。なるほどたしかに、ネイティブ感とユーモア感にあふれ…………って、正気ですか!?

鈴木

これ大丈夫なんですか? そもそも、このゼミの「ユーモア」ってこういうことなんですかね??

編集部

わかんないです。ま、怒られたら鼻だけ外しましょう。

鈴木

あ、やっぱり先方には、この企画のこと伝わってないんですね……。でも、せっかくの女子大デビューなので頑張ってみます。

編集部

あと授業の最後に英語でジョークをお願いしますね! なんといっても「ユーモア」の授業なんで(笑)。

英語だけで行われる「ユーモア」の授業とは?

いよいよ迎えた取材当日。前夜に必死に考えたジョークのメモと小道具を小脇に抱え、恵泉女学園大学へ。男性の私もトキメクほどキレイなキャンパスです。挙動不審にならないように、細心の注意を払いつつゼミの教室へ。

ここで、クオック先生と初対面! 緊張しながら小道具などについて説明すると、快くOKをいただき一安心。さすがは、ユーモアのわかるゼミ!

突然現れた「つけ鼻男」を暖かく迎え入れてくれる、ゼミのみなさんの懐の広さに感動しつつ、遠慮なく最前列の中央に陣取る私。

まずは、学生の発表からスタート。発表者が選んだ映画のワンシーンを観て、「goofs=編集上の間違い」を探すという内容です。先生との会話を含めて、もちろん授業中はすべて英語。みんながどんどん発言していきます! 何を話しているのかわからなかった私は、しばらくの間(ほんとは最後まで)、おとなりの心優しい長澤さんに助けてもらうことに。

続いて、クオック先生からプリント配布。「Starbucks」のロゴがたくさん書いてあるように見えますが、よく見るとどれもパロディ化されています。

クオック先生

These pictures have a high level of humor density. All of these are parodies, but also…(これらの写真は高い「ユーモア密度」を持っています。すべての写真はパロディでもあり……)

みんな

Also…?(でもあり……?)

山本さん

Starbucks and …Star Wars?(スターバックスと、スター・ウォーズ?)

クオック先生

Okay, the next case is double parody: Star Wars and Starbucks at the same time. What other kinds of humor can you see?(そう。ダブルパロディの意味もあります。スター・ウォーズとスターバックスが同時に描かれている。ほかにはどんな種類のユーモアがあるかな?)

山本さん

…anthropomorphism ?(擬人化?)

クオック先生

Yes! Georgie & Marcus!(そう! ジョージとマーカス同じだ!) ※ちなみに、「ジョージとマーカス」とは先生の相棒のアヒルのぬいぐるみのこと。記事一番下の集合写真にも写っています。

みんな

(爆笑!)

鈴木

hahaha!(雰囲気で)

ジョークを交えて盛り上がるところは、さすがユーモアを研究しているゼミ。英語がなかなか聞き取れない私にも、その楽しげな雰囲気だけは十分に伝わってきます。

その後、「“mistakes”と“accidents”が笑いを誘うのはなぜか?」や「言語の進化論について」といったテーマでディスカッションをしつつ、ゼミは進んでいきます。先生の質問にも、どんどん英語で答えていくゼミ生の姿がステキで、私も鼻の、もとい“華の”女子大生だったらこんなゼミに入りたい! と思ってしまうほど。

いよいよ、渾身のジョークを披露!

さて、授業の終わりが近づくにつれ、私の緊張感は高まっていきました。楽しい雰囲気で一瞬忘れかけていましたが、ジョークを披露しなければならないのです。スベったらどうしよう……とリアルに足がすくむ自分を感じつつ、いよいよ出番がやって参りました。

鈴木

みなさん、今日はどうもありがとうございました。お礼と言ってはなんですが、今から英語のジョークを2つほど披露したいと思います。まずは伝統的な日本のジョークから。これは一人二役でいきます。

鈴木A

Do you know that the fence was built next to the house?(隣の家に囲いができるんだって?)

みんな

???

鈴木B

……Hey!

みんな

???

鈴木

“Hey” is “塀(へぇ〜)”!!

みんな

(失笑)

クオック先生

???


はい、完全に追い込まれました……。でも、スベったときの押さえとして、私はもうひとつ、定番のアメリカンジョーク(?)を用意していたのです。

鈴木

Do you know the favorite color of Michael Jackson?(マイケルジャクソンの好きな色ってな〜んだ?)

みんな

Red?

みんな

Black??

鈴木

The answer is ……Ahooh!!

みんな

???

鈴木

……あ〜お(青)

みんな

(爆笑)

クオック先生

(ニヤリ)
※編集部注:のちほど先生にジョークの出来をたずねたところ、「ひとつ目のジョークは、『塀』の意味がよくわからなかった。ただナンバー2はOKだ!」とおっしゃっていました。


2つ目のギャグがなかったらと思うと背筋が凍る思いですが、ひとまず無事任務は完了。最後にゼミ生のみなさんに、お話を聞いてみました。

ーー活発に発言してましたけど、ゼミに入ったときから英語はできたんですか?

「全っ然、わかりませんでした(笑)。初めは先生の言っていることが聞き取れなくて苦労しましたね。でも今は、入った頃に比べると格段に英語のレベルが上がりました」

ーーこのゼミのいいところって、どんなところ?

「質問がしやすいところ! 正解がなく、自分で考えて解決していかければいけない課題が多いし、質問や意見もどんどん言わなければならないから、主体性を持てるようになりますね。先生との距離が近いのも魅力かな。宿題は大変なんですけど(笑)」

ーー将来はやっぱり英語に関わる仕事をしたいの?

「はい! できればそうしたいです。そのために、まずは学内の留学プログラムで短期留学をしたいと思っています」

アットホームな雰囲気のなかで英語力が身につき、ユーモアの知識まで吸収できるクオックゼミ。先生は、学生の変化について次のように話してくれました。

「英語も上達したけれど、なによりしゃべろうという自信がついてきました。会話には、必ず正解があるわけではありません。相手の発言に反応して、イニシアチブをとっていく。そういう力を身につけてほしいし、それが本当のコミュニケーションなんです」

先生の寛容さとゼミ生のみなさんのやさしさに救われながら、ワタクシ鈴木、初の潜入取材は、こうして無事に幕を閉じました。今度は、さらにレベルの高いジョークを携えてリベンジさせてください(笑)。みなさん、ありがとうございました!

鈴木が感じたクオックゼミのココがステキ!
楽しみながら“生きた”英語力が身につく
自分の意見を伝える積極性が養われる
ユーモアのセンスが磨かれる(試される?)

■ ゼミ紹介
恵泉女学園大学
人文学部 英語コミュニケーション学科 クオックゼミ

テーマは「西洋のユーモア」。ユーモアとは、ただジョークを言って人を笑わせるだけでなく、攻撃したり否定するのにも使われるもの。ユーモアの定義や文化的な側面を、より具体的に理解するため、映画やニュースをはじめとしたマスメディアなどを通して学んでいく。ちなみに、恵泉女学園大学では、英語コミュニケーション学科に所属する半数以上の学生が、1年時の終わりに、カナダやイギリスに約1ヶ月の短期留学をしているそう。