今回うかがったのは、駒沢女子大学人文学部国際文化学科3年の藤田ゼミ。研究分野は、イタリア・フランス・イギリスの3カ国の歴史と文化……といっても、けっして難しい内容だけではアリマセン。こちらのゼミは、国際文化学科の中の「観光文化コース」。観光を通して、その土地の新しい魅力を探っていくことを目的にしているんです。

美術館巡りにハネムーン! ゼミ生が「観光ツアー」を作成

授業は生徒たちの発表がメイン。内容について、藤田啓子先生に聞いてみると……。

「発表は前期に2回あって、1回目の課題は文化について。たとえば芸術だったり食事だったり、それぞれが興味のある分野について発表しました。2回目は、1週間ほどの観光ツアーを考えるのが課題。アートが好きな人は美術館巡り、他にも豪華なハネムーンを考えたという人もいましたね。今日は、そのツアープランを発表します」

ツアーのコンセプトやテーマ、ターゲットはもちろん、行き帰りの飛行機などの交通手段から、観光コース、食事をとるレストランから宿泊するホテルまで。ゼミ生が、旅のすべてのプランを考えるのだそう。

この日ひとり目の発表者は、「以前からイタリアに行ってみたかった」という北方さん。

北方さん

今回は、学生向けのプランを考えました。ツアーを行うのは航空券の安い冬。女の子ふたりで行くという設定です。

【Data】

期間 2013年2月27日(水)〜3月6日(水) 8日間
人数 2名
気温 最高14℃/最低4℃
時差 日本マイナス8時間
料金 総額 35万9904円/1人あたり17万9952円
学生向け
イタリア 芸術の旅
■ 1日目(2013年02月27日)

【移動】
成田空港発―モスクワ経由―ローマ(フィウミチーノ空港)着

【宿泊】
「ホテルブレッド」
(ローマ泊/4連泊)

ホテルは、口コミの評価もよく、女性でも安心して泊まれるセキュリティのしっかりした宿を選びました。
■ 2日目(2013年02月28日)

・ローマ市内巡り
(コロッセオ→フォロ・ロマーノ→カピトリーニ美術館→サンタ・マリア・マッジョーレ教会→スペイン広場→トレビの泉)

移動は、ローマパスというチケットを利用します。3日間地下鉄・バスに乗り放題、美術館などが割引・無料に。観光地でチケット購入の列に並ばずにすみ、時間の節約にもなります。
■ 3日目(2013年03月01日)

・ヴァチカン市国→サンタンジェロ城見学
・ローマ三越ショッピング

ヴァチカン市国にあるサン・ピエトロ大聖堂は、1506年にブラマンテが設計、その後、ラファエロやミケランジェロなど、芸術の巨匠たちが主任建築家を引き継ぎ、建設されました。
■ 4日目(2013年03月02日)

・ローマ発ポンペイ日帰りツアー

夕食は、ローマの「ダ・フランチェスコ」というレストラン。伝統的な味わいが人気で、ローマの習慣に習い、ピッツァは夜のみ販売しています。
■ 5日目(2013年03月03日)

・フィレンツェ市内観光
(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂→ウフィツィ美術館→ヴェッキオ宮殿)

【宿泊】
「クルザール&オーソニア」(フィレンツェ泊/2連泊)

市内観光で訪れるウフィツィ美術館の見どころは、なんといってもボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」です。
■ 6日目(2013年03月04日)

・ピサ半日観光
・フィレンツェ市内観光
(サンタ・マリア・ノヴェッラ教会→アカデミア美術館)

■ 7日目(2013年03月05日)

【移動】
ローマ(フィウミチーノ空港)発―モスクワ経由(機内泊)

■ 8日目(2013年03月06日)

【移動】
成田空港着

北方さん

ご清聴ありがとうございました。なにか質問ありますか?

質問者

ウフィツィ美術館では、「ヴィーナスの誕生」のほかに、押さえておきたい作品はありますか?

北方さん

同じくボッティチェリの「プリマベーラ」が有名です。

ここには一部のみ抜粋しましたが、観光スポットの見どころや歴史、電車の時刻などなど、実に細かく調べられているのは、さすが! ちなみに、2週間毎日数時間をかけて、ここまでのプランができ上がったのだそうです。

さて次は、フランスの旅。2人目の樋田さんによる発表です。

樋田さん

幅広い層の女性をターゲットに、多方面からフランスの魅力を味わえるリッチな旅を考えてみました。

【Data】

期間 2013年10月9日(火)〜17日(水) 9日間
人数 2名
滞在場所 パリ、ボルドー、レンヌ、モン・サン・ミシェル
料金 総額 48万2412円/1人あたり24万1206円
グルメ・アート・ショッピング♪
盛りだくさんの フランス大満喫の旅
■ 1日目(2013年10月09日)

【移動】
成田空港発—ヘルシンキ経由—パリ(シャルル・ド・ゴール空港)着

【宿泊】
「ロイヤル ベルジェール」
(パリ泊/3連泊)

夕食はパリ北駅近くの「ミシェル」でとります。養殖牡蠣などの魚介、そば粉のガレット、リンゴ酒など、ブルターニュ料理の食材を用いた人気の店です。
■ 2日目(2013年10月10日)

・ヴェルサイユ宮殿
・ギャルリー・ヴィヴィエンヌ

ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊は西向きに位置していて、太陽の光を反射させて室内を明るくするため、鏡張りにされたといわれています。
■ 3日目(2013年10月11日)

・ルーヴル美術館
・周辺観光
(コンコルド広場→マドレーヌ寺院→フラゴナール香水博物館→ギャラリー・ラファイエット百貨店)

■ 4日目(2013年10月12日)

・半日ワインツアー

【宿泊】
「クール ドゥ シティ ホテル ボルドー クレモンソー」
(ボルドー泊/1泊)

ボルドーに移動し、午後からツアーに参加します。シャトーを数軒巡りながら、ワインの基礎知識や歴史を学びつつ、試飲ができるツアーです。
■ 5日目(2013年10月13日)

・レンヌ市内観光

【宿泊】
「アダージョ アクセス レンヌ サン マルタン」
(レンヌ泊/1泊)

■ 6日目(2013年10月14日)

・モン・サン・ミシェル観光

【宿泊】
「コンコルド ラファイエット」(パリ泊、2泊)

世界遺産のモン・サン・ミシェルは、8世紀初頭に礼拝堂が置かれましたが、要塞・監獄として使われた時代も。その後、ヴェネディクト派修道院の聖地として栄えました。
■ 7日目(2013年10月15日)

・パリ市内観光ツアー
・ショッピング
・セーヌ川クルーズ

ショッピングでは、高級ブランド店が並ぶシャンゼリゼ通りやモンテーヌ大通りを訪れます。
■ 8日目(2013年10月16日)

【移動】
パリ(シャルル・ド・ゴール空港)発—ヘルシンキ経由(機内泊)

■ 9日目(2013年10月17日)

【移動】
成田空港着

樋田さん

ありがとうございました。質問はありますか?

編集部

直行便ではなく、乗り継ぎ便を利用するのは、なにか理由があるんですか?

樋田さん

ツアーの価格を抑えるため、より安い乗り継ぎ便を選びました。最後のホテルにこだわったので、最終的にちょっと高くなってしまいましたが……。

藤田先生

最後にいい宿に泊まると、それまでのホテルがイマイチだったとしても忘れちゃうから、こだわったのは悪くないことよ。

これで、この日の発表は終了。発表後には、ゼミの生徒全員が発表の感想を無記名で評価シートに記入して、発表者にフィードバックします。

プレゼンテーションする力を身につける

ところで今日の授業、先生の発言がとても少ないのが印象的でした。そんな疑問をぶつけてみると……。

「私がコメントをすると、どうしても私にだけ向かって発表してしまうんです。発表を通して、自分の主張を言葉にしたり、大勢の前でプレゼンするスキルを身につけてほしい。それは社会に出てからも、絶対に必要になる力ですから。もちろん、私の意見が聞きたいときには、研究室に来ればアドバイスもたくさんしますよ」

「観光」について学んでいるだけあって、就職先には、旅行会社やホテルなどを志望する学生も多いそう。

「選ぶ業界に関わらず、ゼミでは、なにかひとつコレ!といった自分の魅力や得意なことを見つけてほしい。もっと自信を持ってほしいと思っています。みんな真面目なんだけど、ちょっとおとなしいところがあるから……。あ、でも、飲み会とかLINEでのやりとりは、そうでもないんですけどね(笑)」

「おとなしい」と言われていたみなさんですが、ゼミや先生のことをたずねてみると、いろいろと教えてくれました。

「みんなが考える旅行プランが全然違っていて面白いよね。1〜2年の授業を受けていたときは、藤田先生って厳しいと思っていたけど、意外にやさしかったし(笑)」
「そうそう。研究室に行くと、お菓子を出してくれて。それを食べながら、就職の相談にものってもらったりもしています」
「このゼミを選んでよかったのは、みんなの仲がいいことかな」

どうやら藤田ゼミの楽しさは、授業時間だけではないようです。これからもステキな旅を考えつつ、自分の得意なことも見つけちゃってください!

藤田ゼミのココがステキ!
プレゼンのスキルが磨かれる
自分の魅力や得意なことが発見できる!?
先生の研究室相談(しかも、お菓子付!)が大人気

■ ゼミ紹介
駒沢女子大学
人文学部 国際文化学科 藤田ゼミ

研究テーマは、英・仏・伊の文化や歴史。「観光」をキーワードに、各国の文化的な魅力を知り、グローバルな視野を養う。4年時には、全員でひとつのツアーを作成するゼミ論や、他ゼミとの合同ツアープラン発表会も。また、観光文化コース全体としては、ホテルや旅行会社などで2〜4週間のインターン研修も行っており、学生のうちに現場に触れることができるのも大きな魅力。