
正門の表札。こんにちは、津田塾大学です。ちなみに地名も津田町。
日本のお墓。そこからイメージされるのは暗い怖いといったものが多く、お墓の近くに住宅や商業施設を建てることはなるべくなら避けたいところ。
ましてや大学、しかもフレッシュな女子の集う女子大学にそんな場所があるわけ――
あるんです。
東京都小平市にキャンパスを構える津田塾大学。今回取材したわたしYと、ボブヘアーがイカした友人Aさんが日々を過ごしているキャンパスである。
うちの大学には新入生が新歓期に耳にしてやまない、「とある迷信」が存在する。
一回墓参りすると結婚できず
二回だと結婚できても離婚し
三回墓参りしないとその呪いはとけない
晩婚化が進み、世間の女性が婚活がどーのこーの騒いでいるこのご時世に、なんとも恐ろしい迷信である。しかも、創立者・津田梅子は生涯結婚しなかったという事実が、この迷信になんとも言えない説得力を持たせる……。

ワクワクしながら墓参りに向かう私。撮影はAさん。
そして実は、新歓期になんとなく2回も墓参りに行っていたわたし。
リーーチ!!
しょせん迷信、されど、迷信。将来の結婚生活にぼんやりとした不安を抱いたままでいるのも心地悪いし、だからといってひとりで墓参りもなんだか気恥かしいというか……。
せっかくの機会だし、墓参り未経験のAさんを迷信に引きずりこむのを承知で散歩がてら墓参りに行くことに。
学内のカフェを過ぎてテニスコートの方へ向かう。
すると、親切なことに案内がある。
「すごいねえ」、とAさんから感嘆の声。すごいのか……?
そのまま案内に従って進む。
見えてきた。
といっても私にとっては、もう3度目のおなじみの光景である。ようやく迷信から解放されるのかと思うと、心なしか足取りも軽い。
思わず駆け出してしまう!
到着。墓、である。

「UME TSUDA」と記されている。津田梅子の初名は「津田むめ(うめ)」だったとのこと。手桶と柄杓は完備。気軽に墓参りに来れるのも嬉しい。
ご覧の通り、洋風の立派なお墓。「暗い、怖い」という墓のイメージとはかけ離れた気持ちのいい場所。周囲も静かで、心が落ち着いてゆくのを感じる。

Aさんも。

墓から見える光景。ちょうど陽の光が差してきて、美しい。
しばし、墓のとなりで二人、創立者に思いを馳せる。もはや迷信のことなどどうでもよくなり、津田梅子先生を想って不覚にも感動していた。
「でも、やっぱり、なんで構内に墓……」
とは、とても言い出せない雰囲気だった。
後日調べたところ、昭和4年(1929)64歳で死去した梅子は、いったん青山霊園の津田家墓所に葬られたのだが、昭和7年(1932)彼女の遺言に従い、津田塾大学の一角に改葬されることになったとのこと。豆知識。

ちなみに、そんな津田梅子先生の肉声は、 生協で販売されているこのCDで聴くことができる。

バリエーション豊富な津田グッズは、女子大らしいキュートさが◎。わたしもノート愛用中。
歩き疲れたので学内のカフェへ。
今回の取材を振り返る。


Aさんはケーキセット(左)、わたしはアフタヌーンセット(右)を注文。
はじめは、軽い気持ちで行った、それは否めない。けれど、墓参りをしたことで、なぜか気持ちが軽くなった。津田梅子のお墓は、パワースポットなのかもしれない。
悩み事があったら、またふらりと一人で訪れてみるのもいい。そんなことを思う夕方であった。
そして……。
迷信が本当なのかがわかるのは、また未来のお話である。